明るいさよなら

カントリー娘。の出演するラジオ番組を聞くたびに、奇妙な感覚に襲われます。
スピーカーから聞こえてくるあさみとみうなの声は、これまでと何も変わりがない屈託のなさ。あと数週間で芸能界から身を引く決定事項が既にあるなんて、嘘のようだよなあ。


MBSヤングタウン土曜日』で、あさみとみうなが引退の挨拶。ぼくは放送エリア外の関東在住者だし、そうでなくてもAMの電波が入らない構造の家に住んでいるので、ふだんは無縁の番組ですが、今回は聞いてみたかった。
そこで例によって、アップローなんちゃらダーのお世話になる。
引退を決めた理由の説明は、ほかのところで喋っているのと同じ内容。もしかしたら、さんまの口車に乗せられて、よけいなことをポロッと喋っちゃったりしないもんかなと密かに期待していたんだけどね、さすがにそれはなく。新しい情報があるとしたら、あさみは北海道に帰らず東京で働くつもりらしいこと(それはまあ、言われなくてもそうだと思っていたけど。ペット市場の最先端もやっぱり首都圏でしょうから)、みうなの次の進路を知っているらしいさんまに「たいして人の役には立たないと思う」と、ずばっと言われていたことくらいですかね。
また、「長澤まさみには似てません」と結論され、がっかりしたような声を漏らしていたのがおもしろかった。自慢したい事柄だったのだろうか。確かに、輪郭がふっくらとした最近の長澤まさみには、あまり似てないと、ぼくも思うわ。
しかし、さんまのサッカー・トークにかろうじてついていけそうな知識と見る目をせっかく身につけたのに、活用する機会がないまま終わりそうなのが残念です。「イブラヒモビッチ」「ルイス・ガルシア」といった名前がふたりの口から出てきて、さんまも少なからず驚いたんじゃないでしょうか。そこでさらに、いつぞやの『WEBサッカーマガジン』のコラムで触れたパウル・ブライトナーのことを持ち出せば、とどめを刺せた可能性もある(笑)。さんまがいちばん好きな時代の選手でしょう。1970年代にサッカー少年だった人間にとって、74年の西ドイツ大会は、とりわけ強い影響を受けたワールドカップのはずですから。
それはそうと、さんまが長々と語っていたライカールトのエピソードは、ずいぶん前にもどこかで喋ってましたが、そのときは確かグーリットって言ってた覚えがあるんだけど。どっちが正しいのだろう。現役時代、日本企業の広告などに起用されていたグーリットのほうが、どちらかというと日本に縁がありそうだよね。


聞き終えてしばらくたってから気づきましたが、この番組でも湿っぽさはいっさいなし。完全に達観しているのか、辞める実感がまだ湧かないのか。うーむ。
どうしても続けたいものを、事情があって辞めなければならないというのとは違うから、晴れ晴れとしているのかねえ。
内面に渦巻く感情を隠し、気丈にふるまっているのだとしたら、その精神力には敬意を表したい。プロだな。ぼくはそのときの気分に判断から何からすべてがものすごい左右され、虫の居所が思いっ切り態度に出てしまう男なので、気持ちのコントロールができる人に羨望を抱いてしまう。