Bye The Knack


ナックのボーカリスト、ダグ・ファイガーが亡くなったとのこと。
モーニング娘。のサードアルバムに収録されている『愛車ローンで』の元ネタとしても知られる『マイ・シャローナ』の大ヒットは1979年。あたしゃ大学生でしたよ。この曲を耳にしない日はない、という言い方が比喩ではないくらい、どこへ行っても有線放送で流れていた。
当時はレンタルレコード店が普及する前だから、レコードを買わずに音楽タイトルをコレクションしたければ、FM放送をエアチェックするか、友だちに借りるしかない時代だったけれど、その“不自由さ”が逆に熱意を呼ぶのか、気に入った曲は「よし、絶対録音してやる」と、テープデッキをポーズ状態にしてオーディオセットの前で待ち構えていたり、レコードを持っている友人に甘えかかって借りたりしていた。
で、録音したテープはものすごく大事に聞いてました。この場合の“大事に”というのは、何度も繰り返し飽きずに聞く、という曲の作者が喜んでくれるような聞き方という意味ね。その意識が著しく薄れたのは、レンタルレコードでいつでも気軽に望みの音源が入手できるようになってからだなあ。やっぱ、人の手がつくったものには、相応の対価を払わないと、聞き上手になれないということかもしれない。
『マイ・シャローナ』の話に戻ると、この曲は本当に毎日毎日僕らは鉄板の上で焼かれて嫌になっちゃうほど刷り込まれた。だからレコードも買わなかったし、エアチェックで録音することもなかった。そしていつかナックは究極の一発屋というレッテルを貼られてしまった。
しかし、中年世代の刷り込み現象ということなのか、ラジオでたびたび耳にしてきましたし、テレビ番組でもタイトル音楽に使われたり(エド・はるみがネタに使用したのは「勘弁してくれ」と思いましたが)、かなり根強い人気があります。案外、若い人にも受け入れられているのかな。30年前の古い曲だけど、シンプルな構成だから古さは感じないものね。