ネムレナイト

先日は、大人の麦茶公演『ネムレナイト』を見に行ってきました。
アブストラクトな前衛劇だったら困るなと思いながら座席に着きましたが、ちゃんとストーリーのあるコメディでした。よかった。CM制作会社のディレクターが主宰する劇団ですから、そこはやっぱり、表現者として、わかりやすくておもしろいものづくりを使命と心得ているわけです。もちろんまったく面識はありませんが、大きく言えば同じ業界に身をおく者として、そのへんは想像が容易です。
未亡人となった女が、葬儀の直後に後追い自殺する。密室的状況だったため、僧侶が殺人の疑いをかけられてしまう。僧侶は無実を証明しようとあがくうち、彼や、彼の身内に絡むさまざまな人間関係が次第に明らかになっていきます。芝居はもう終わったので、もっと詳しくストーリーを紹介しても叱られはしないでしょうけれど、どうやらDVDで発売されるそうですから、興味が湧いた方はそちらをご覧になってもらえばいいかと思います。
生と死、愛と憎しみという相反しながらも実は表裏一体の概念をモチーフに、本当の心を大切な人に伝えることのもどかしさを描いた、ヒューマンなコメディ。などと、ぼくが紹介コメントを書くこたぁないやな。一銭にもならないっちゅうの。
保田の出演した舞台は、『羅生門』も『夏ノ夜ノ夢』も見ましたが、今回の『ネムレナイト』がいちばん楽しめた。