楽天球団の応援歌

1978年に西武ライオンズが設立された際、松崎しげるが歌った球団応援歌『地平を駆ける獅子を見た』を初めて聞いて、少なからず違和感のようなものを覚えた記憶があります。
当時、松崎しげるは『愛のメモリー』を大ヒットさせた直後の、押しも押されもせぬ人気流行歌手だったわけですが、だからこそ、野球というスポーツの汗くささと、芸能のスマートなセンスとの「そぐわないイメージ」を強く感じたのかもしれません。しかも、曲調は完全なポップス調。その現代的なノリは、ある意味、応援歌のアンチテーゼでした。
球団応援歌に限らず、スポーツ音楽はとにかくマーチ。阪神タイガースの通称『六甲颪』、読売ジャイアンツの『闘魂込めて』、夏の高校野球の行進曲『あゝ栄冠は君に輝く』、NHKのスポーツ中継のオープニングテーマ……。スポーツに似合う音楽はマーチという常識が、かつては確かにあったと思う。ちなみにいま列挙した曲名は全部、マーチ音楽の天才作曲家・古関裕而の手になるものなんですが。
楽天ゴールデンイーグルスの公式応援歌をモーニング娘。が歌う。このコラボレーションは、ライオンズと松崎しげるの組み合わせ同様の「必然性のなさ」ですが、楽曲に説得力があればそれなりに受け入れられ愛唱されていく可能性もあるでしょう。曲のできあがりを楽しみに待ちたいと思いますが、ぼくが気になるのは「なぜモーニング娘。つんく)に依頼したのだろう?」という部分。新聞の公式発表では、当たり障りのないイイコトしか書いてないのです。

ふと思い出したのですが、いつだったかなあ、安倍なつみが何かのインタビューで「作詞に興味があって、自分で書いてみたのをつんくさんに見せた。でも何にも言ってくれないんですよね」みたいな感じのことを言っていたような覚えがあるような、ないような。
その定かでない記憶が事実だったとして、その後つんくさんは詞を添削して戻してあげたのでしょうか。ちゃんとやり取りして、指導してあげられたのでしょうか。

……たぶん、やってないんでしょうねえ。