フォークジャンボリー!

■ともえちゃんフォークジャンボリー
お台場冒険王冒険ステージなんですけどね。いやー疲れた。のべ5時間ちょっと? 長い。四十路も半ばの老身にオール・スタンディングは辛そうだなーと怯えながらの会場入りでしたが、行ってみたら客席はフットサルコートで、気軽に腰を下ろすことができたのはよかったです。でも疲れた。

ではさっそく。保田メインの第2部についてです。

アルフィーのデビュー30周年記念ということで、坂崎幸之助が選んだ「74年のヒット曲コレクション」。坂崎のアコースティックギター武部聡志のキーボードをバックに保田が10曲歌いました。
皮切りの「夕暮れ時は淋しそう(NSP)」から、ほとんどの曲をソラで歌える自分に苦笑。ところが1980年生まれの保田はほとんどの曲を「知らなかった」と言うだけあって、かなり堂々と間違いまくっていましたよ。NSPのときだけ、篠原ともえがリハーサルなしのぶっつけ本番でオカリナを吹いたんですが、キーが合ってないし、というよりなにより吹けてないしで、すっかりメロメロです。それに気を取られたらしい保田は間奏開けの出だしをミス。いきなり1曲目から間違えたということが、彼女の心理面になにがしかの影響があったのかもしれません。
雰囲気としては手づくりライブのノリで、演奏するほうも聞くほうもくつろいでいるよさがあり、だから素人丸出しのオカリナでも許されるのですが、それでも客前でちゃんとできないのはライブや舞台の豊富な経験をもつプロとしてかなり恥ずかしいはず。シラケかけた空気をシノラー調の奇妙なくねくねした動きでリカバリーしつつ、次の出番では何ごともなかったかのような顔つきで現れる篠原の度胸を、保田も少し見習ってほしいですなあ。
もっとも、本人もいってましたが、この日が初めての単独ライブなんですよね。ただでさえ緊張する条件下、披露するのは人前で初めて歌う曲ばかり。ある面、しかたないのかもしれません。気のせいでしょうか、曲の合間に譜面なのか歌詞カードなのか、前に置いたアンチョコ的な紙片をめくるとき、手が震えていたようです。第1部の「ヤングの部」に出てきた、世間的には無名なシンガーたちも、実は保田よりキャリアはずっと上で、ライブ慣れしているし歌もみんな上手かった。「私なんかが第2部のメインになっちゃっていいんだろうか」的発想をしてしまったとしても無理はないところです。保田はそういうこと考えそうでしょ。
パフォーマンスに関しては、自分らしさをそれなりに出そうとしていたところが見受けられました。安定感はありましたし、緊張よりも、歌える喜びが勝ったということでしょうね。
ただ、イルカや細坪基佳(元ふきのとう)といったベテラン勢が保田よりアベレージ高いのは当然としても、森圭一郎(うまい!)、サンタラ(かっこいい! CD買おうかな)らヤング(といいつつかなりの実力派たち)と比べても、保田はいくぶん声の張りが弱い気がする。もうちょっと主張があってもいいかな? 譜面を見ても間違えてしまうくらい緊張していたわけですから、声量が思うようにコントロールできなかったとしても無理はないですけど。
でも、ダメだったかといえばそんなことはぜんぜんなく、総合評価的には決して悪くなかったと思います。

それと、坂崎さんが保田の歌について感想として述べた「こういう曲に合っている」という意見には大いに賛成したいです。音の頭をしゃくり上げたり、わざと変な場所で声を切ったりするJポップ調の歌い方では、当時の楽曲の雰囲気が伝わらない場合がある。第2部ステージのコンセプト的にも、イマドキの装飾はいらない。保田自身も手応えがあったらしく「メロディに言葉が素直に乗っているストレートな感じの曲ばかりだから歌いやすい」と話していました。
しかし、ストレートなだけにごまかしがきかない曲だともいえます。歌い手の歌唱力がそのままマイクに乗るわけですよ。ぼくみたいに、オリジナルの曲をよーく知っている聴衆もいて、そういう客をそれなりに納得させられるのだから、力のある歌手だなと思います。
もう、ステージ慣れの問題だけですよね。2回目のコンサートが来年のフォークジャンボリーなんてことにならないよう、ほんと頼みますわ。なんなら都筑公会堂、月イチ空けましょうか?