神話の世代

23日のラジオ番組で発表された、飯田圭織石川梨華の、モーニング娘。からの独立(飯田は来年のハロープロジェクト正月公演、石川はモーニング娘。の春ツアー)。飯田に関してはそろそろだろうという鉄板予想があったので、驚きはありませんが、石川はいずれリーダーになるんじゃないかと睨んでいた。こんな早いタイミングで「卒業」していくとは、少々意外に思いました。

ああ、新ユニットを結成するそうなので、そこでは当然、石川がリーダーに就任するのでしょうけど。

石川は、いわゆる4期メンバーのなかで最年長です。辻と加護の、恐れを知らない強烈なやんちゃぶりに比べるとどうしてもおとなしく見えてしまいますが、あるテレビ番組をきっかけに、ステレオタイプなカワイコぶりっ子を意識的に演じる「チャーミー」というキャラクターをつくり上げました。痛い系のキャラであり、たいへん突っ込みやすい仕様になっています。いまのところ楽屋ネタ的な内輪の芸に終わっていますが、独立を機に、つつがなく育ってほしいところです。また音程が著しく不正確である弱味を逆手に取った掴みネタも、うまく使ってほしいな。

一方、飯田はモーニング娘。のファウンディングに関わっていた最後のメンバーです。「安倍なつみの影」あるいは「敵役」のポジションを与えられてキャリアをスタートせざるをえなかったのが不満だったのか、トーク番組では安倍ら他のメンバーを抑えて話題の中心にいようとする言動が目立ちました。その頃の飯田は不思議ちゃん系で、微妙に話が噛み合わないおもしろさがクローズアップされていました(本人の意図に沿ったものではなかったと思いますが)。
しかし2代目リーダーに就任してからは、縁の下の力持ち的な役割に回り、後輩たちに喋る機会を譲ったりするようになっていました。「私、最近テレビに映ってないんですよねー」などとぼやきつつ、ではありますが。
彼女はイラスト作品の個展を開かせてもらったり、ノンフィクション作家の鎌田慧と絵本を共作したりと、かなりアーティスト志向の強いパーソナリティを見せています。ヨーロッパの伝統歌謡をカバーするアルバムを出したりしているのは、事務所的にもアーティスト・イメージを前面に押し出していきたいからでしょう。身長が高くモデル体型である飯田の場合、そのほうがアイドルとして売っていくより正解かもしれません。地中海をコンセプトにしたシングル曲を出したりしているところをみると、もしかしたらアテネ五輪がらみで何か企画が進んでいることも考えられますね。

これでモーニング娘。の最盛期を知っているメンバーは、矢口真里吉澤ひとみを除く全員が卒業することとなりました。
「卒業生」の先輩たちを見てみると、中澤裕子は、ソロ活動約3年で昼の帯ドラマ主役の座を射止めるなど、ペースはさほど速いとは言えないものの、少なくともステップを昇ってはいるようです。
後藤真希は、ソロシンガーにほぼ専念。ステージを積極的にこなして、一定のファン層獲得に成功していると見て間違いないでしょう。シングル曲は、チャートの順位に限れば松浦亜弥より上に来るケースが少なくありません。
保田圭は、いささか伸び悩んでいるように受け取れます。女優で行きたいといいながら、実績はいまのところ「羅生門」だけですから。あまりドラマや舞台の方面に顔の利く事務所ではないようなので、そのへんはしかたがないか。保田に歌わせる楽曲を用意する余裕がないから「女優で」と言わせていた可能性も考えられるのが悔しいところですが、そんならひとつ、自分で曲を書いてしまったらどうですか圭ちゃん。歌ってほしいと考えているのは一般のファンばかりではなさそうですよ。

そこに安倍なつみ飯田圭織を加えた5人の「神話の世代」で、臨時にでもいいからユニットを組んでみたら……と思うのは素人ゆえでしょうか。