FS5「卒業」

■卒業
フォークソングス・シリーズ第5弾。今回は「卒業」と初めてサブタイトルがつきました。そのココロは別れだったり旅立ちだったり確かめ合う友情だったり、などのキーワードで引っ張ってこれる曲を集めた1枚になっています。またサイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」と「スカボロー・フェア」の2曲が洋楽カバーとして収められているのですが、確かに映画「卒業」のために書かれた曲とはいえ、ちょっとこじつけっぽいかなと思いました。
ただひとりシリーズ全作に関わっている御大・中澤裕子をはじめ、4枚目に引き続いての保田圭、やはり2度目のレコーディングとなる後藤真希松浦亜弥、そして安倍なつみカントリー娘。が初参加しています。
一聴しての感想は、松浦の出来のよさが頭ひとつ抜けている印象ですね。この子ホントうまいわ。なんか、オリジナルの雰囲気を生かしながら自分の歌にしちゃっている雰囲気です。
安倍と中澤のデュエットも悪くないです。楽しそうだ。といっても、このふたりがハモっているだけでうれしいという出来不出来に関係ないところで聞いちゃっている部分がありますが。
歌唱力的にはやや難ありのイメージがあったカントリーも、どの子かわからないけど声のいい子がいますね。
しかしもっとも驚かされたのは保田です。アイドル歌手のような可愛らしい歌い方をしていて、まるで別人。歌に関しては引き出しをたくさん持っているんですなあ。
このシリーズは、ふだんのハロープロジェクトの活動で歌っている彼女らの持ち歌とはまったく違うテイストの曲をどう歌いこなすかという、勉強の意味合いもある企画になっています。受け手側にとってのベネフィットは「あ、この子こんな歌い方もできるんだ」と新たな魅力が発見できることでしょう。その面での期待には、今回も応えてくれたと評価してもよさそうです。

ただ、選曲は前回の「FS4」のほうが練れていたように思います。高木麻早松原みきなど、当時はかなり話題になったものの現在ではほとんど忘れ去れているポップスの佳曲を多く取り上げて、フォークソングスという企画の円熟味を感じさせたのですが。ちなみに高木麻早の「ひとりぼっちの部屋」を矢口真里が歌っていて、それを知った高木が喜び、自らのウェブ日記にその気持ちを書いています。という具合に、作者からも喜ばれるカバー・アルバムでもあったわけです。今回の「卒業」はそうじゃないとはいいませんが、洋楽のカバーや、キロロのごく最近の曲があったりする部分が、「おや、なに? 曲選びにちょっと苦しんでる?」と思わせてしまうんですよ。ぼくはその点が残念な気がしました。
また、バックトラックのアレンジが、オリジナルに対して中途半端に忠実な感じで居心地が悪い。変えるなら変える、従うなら従うで、どちらかに徹底したほうがよさそうですね。曲によってはパーカッションがうるさくて邪魔だったりします。

それとジャケットデザイン。「卒業」のコンセプトには沿っていますが、ちょっと素材を料理しきれてない感じがします。アーティスト・フォトセッションもいわゆる「ニコパチ」の域を出ていないですよね。時間的に(あるいは予算的にも)条件が厳しかったのかもしれませんし、デザインの決定権がある人(つまり発注者)のセンスの問題かもしれません。

■Matthewに紺野と藤本
25日の「Matthew's Best Hit TV」は紺野あさ美藤本美貴が「Best Hit Generation」のコーナーに。
あの、ちなみにモーニング娘。が出る出ないに関わりなく、「Matthew」は毎週見ております。けっこう好きなんですよこの番組。平野レミの料理コーナーはおもしろいですよ。レミさんの野放図な喋りも爆笑ものですが、紹介される創作料理が本当に簡単にできそうで、ためになります。