人生はゴムのようなものだ(by ゆーとぴあ)


あさみこと木村麻美さんがメロン記念日のライブにゲストで出たという情報に接したときは、妙に嬉しかったな。ガッタス8番、元気でやってたか、という。
2ちゃんねるの書き込みでは、生まれ故郷の苫小牧に戻って介護福祉士の勉強をしているとか。結局、ペット関連の仕事に就かなかったのは、何か克服の難しい生涯にぶち当たったのか(最終学歴とか)、高齢社会のこのご時世、犬の世話よりも先に人間のジジババの世話だろうと思い至ったのか。
まあ実際、新聞折り込みの求人チラシは半分くらい介護関係だもんね。めちゃめちゃ人手不足の業界だから、仕事はすぐ見つかると思うよ。
ニッポン放送鴻上尚史里田まいのサンデー・オトナラボ』のPODキャスティングによると、ある時点でカントリー娘。は北海道へ戻す方針が打ち出され、あさみとみうなが辞めた理由はそれだったらしい。
ラジオ日本のレギュラー番組が打ち切られ、すぐにSTVラジオで『産地直送』が始まったのは、北海道進出(というか復帰というか)の足がかりだったと思われます。その頃すでに『ヘキサゴン』で里田が島田紳助の目にとまり、フィーチャーされ始めていたので、関東から北海道へのレギュラー番組の移動は非常に奇妙に見えました。
背景にある事情を聞けば、単純な図式だったとわかりますが、関係者の誰も……おそらく本人たちも、カン娘が(というか里田が)ブレイクするなんて夢にも思ってなかったから、売れかけているのに北海道へ引っ込む、ズレた動きが生じてしまっただけだったのです。
里田の極めて駆け足な説明なので、それ以上詳しくはわかりませんが、東京進出が結果的に失敗だったということになり、長く不遇の日々を過ごしてきたあさみ、芸能界への未練も薄かったみうなには、北海道でゼロからやり直す気力が湧かなかったのだろう。どうせゼロからのスタートなら、いっそのこと新しい世界で。そういう選択も間違いではありません。
実質的に解散の通告だったと考えていいと思う。「こういう決定になったが、どうする? ムリに従えとは言わない。今後の身の振り方をきちんと考えてみなさい」というような話になったに違いなく、北海道でも努力が報われないかもしれない可能性に思い至れば、「もういいです。充分やったので、別の道を行きます」ってなっても不思議ではない。
ただ、そこまで行き詰まってしまったのは、事務所の売り方にも問題があったのだ。もちろん彼女たち自身の力不足もあったと思うが、力不足の子をいつまでも抱え込んでいるのは、判断が悪いといわざるを得ない。十代から二十代前半にかけての貴重な年月を費やして、間違った努力をさせてしまうわけだから。芽の出ないタレントが、やり直しの利かない年齢になる前に契約をリリースしてやる決断も、芸能事務所に求められるコンプライアンスの一環かもしれない。
だから事務所としては、いろんな意味で「いままでごめん」だったんじゃないかな。それが円満退社につながったのだろうし、ひとり継続を決めた里田が、ほとんど偶然のような僥倖を掴んで飛躍することもできた。
もし3人とも芸能界に固執して、北海道へUターンしても……という展開になっていたら、里田は『ヘキサゴン』に単独出演していたかどうか怪しい。STVラジオの『産地直送』も、1クール程度でひっそりと終わっていたんじゃないだろうか。
まことにもって、人生は何がどう作用するかわからない。
でも、どのような運命も、理由なく訪れたりはしないんだなあ。いい結果も悪い結果も、全部つながっているんだ。
カン娘の歩みを俯瞰してみると、たいへん上出来なビルディングスロマンのようだ。出発点から不幸な事故があり、翻弄され、挫折し、とうとう夢が潰えたと思えた刹那、最後に残ったメンバーが大ブレイクする。これ、そのまんま小説化するだけで、面白い読み物になりますよ。誰か書かないか。誰も書かないんだったら、俺が書こうかな。