シマる女を見た

ヘキサゴンでブレイクした、里田をはじめとする無教養タレントを言い表す括りのフレーズが「バカドル」に統一されようとしている雰囲気だが、これ、もうちょっと何とかなんないか。あまりにあからさまで、救いようがない感じがする。
「バカ」という表現には、侮蔑的感情ばかりではなく、好意や、場合によっては尊敬の意味を込めることもできるけれど、「バカドル」には何も含みがなく、バカなバラドルだからバカドルでいいだろうみたいな、冷たく見下した感覚しか伝わってこない。
テレビ画面の向こう側の人たちがどう呼ばれようと、ぼく自身の実生活にはまったく影響はないんで、どーでもいいっちゃあどーでもいいんですが、あまり愉快ではないです。関西の人がいう、「アホ」と「バカ」の違いが何となくわかった気がした。
ま、たぶんこの言い方は視聴者には定着しないでしょうけれどね。


銭金』の3時間スペシャル版に保田が出演。
その日そういう番組があること自体知らなかったので、せっせと働いていたら、ヨメが「圭ちゃん出るみたいだからDVDを録っといたよ」と言いに来た。そうですか、そりゃどうも。
バラエティでの保田は正直なところ期待できる要素が少ない。見ても見なくてもどっちでもいいような番組だと思ったが、せっかく録ってもらったのでいちおう見る。
案の定というか……番組そのものはまあまあおもしろかったけど、保田の見所は少なかったですね。もう、あらかじめわかってるんですよ。あのようなキャスティングの中に埋め込まれると、どうなるか。自分から前へ出て行くようなことはしない人ですからね。カラオケの場面でも、自分以外の出演者が目立つように仕向けちゃうし。
上田晋也に「圭ちゃんは自炊はするの?」と振られれば「あまりしないですね」。
「外食が多いんだ?」「外食が多いですね」
あのなあ。会議中の一服タイムの雑談じゃないんだから。ていうか、よくこのやり取りがカットされなかったものだと不思議です。
番組に協力したお店の宣伝になるような会話の流れになっていたので、この場面はもしかしたら台本通りだったのかもしれないけどね。だとしたら、そういう部分でちゃんと間違いのないコメントができる人として、番組スタッフから見られているということだから、決して悪いことではない。
つんく♂がかつて、エッセイで保田を「シマる女」と評したけれど、あれは本当に保田の本質を衝いていたんじゃないかと、いまさらながら思う。舞台を見ても、そうだもの。『楊貴妃漢方薬』では、ガチャガチャ引っかき回す立場の役を与えられたけれど、あれだけは柄じゃなかった。
それにしても、柳原可奈子が「モー娘。世代です」みたいなことを言ってたが、ついこないだまで、テレビの前で夢中で『LOVEマシーン』のフリ真似していた人が、芸能界にどんどん入ってきているわけです(なかには、憧れるあまりモー娘。に加入しちゃった新垣里沙のような子もいるわけだ)。
生誕10年というのは、たとえばこういうことなんだなーと感慨深い。