フットサルはBildungsroman

里田と吉澤キャプテン、北澤スーパーバイザー出演の『ぷらっと☆ホーム』は、生では聞けないのでネットのお世話に。


いろいろと興味深いエピソードをぶっちゃけていましたが、ガッタスは個性の角を突き合わせながら成長してきたチームなんだろうなと想像していたし、たとえ衝突しても引きずらない人たちが残ったのだと思うので、ケンカすると聞いてもさほど驚かない。そうか、やったかと、ニヤッとするだけです。
仕事仲間とケンカできるのは、絶対的な信頼関係が育まれているからだよ。人生でもっとも尖っている年代の子の集まりだから、仲がいい悪いもあるだろうけど、そんな個人対個人の感情を超越して「あいつ嫌いだけど仕事は信用できる」みたいな感覚があるのかなと思うよ。プロの考え方だよね。
オレ、取引先とケンカできないもん。怒りたいが、怒ったら次から仕事がなくなると思うと、のどまで出かかったセリフを飲み込んでしまう。「あいつ嫌い」と思われたら終わり。「でも仕事はできるやつだから」と認めてくれるケースもないわけじゃないだろうが、こっちがそれを期待するのは甘いっすよ。オレのかわりはいくらでもいるからね。現に、軽く半ギレしただけでその場で降ろされたことがある。おまけに請求書の処理をわざと翌月回しにされた。まあ、そういうツマンナイ嫌がらせをするような人だったという意味じゃ、キレた相手が悪かったといえるかもしんないけど。
しかし、そうは言っても、一般的には、自分の譲れない部分があったら強く出さないと、本当の意味での信頼がもらえないですよね。腹を据えて、言うべきことは言わせてもらう覚悟がなければ、いい仕事、いい相手と巡り会うのは難しいのも事実です。気持ちではわかってるんだが、末端の零細業者根性が芯まで染みついています。


しかし、カントリーの3人が本当に不仲だったという話題は、さすがにちょっと生々しさを感じました。
前々から話には聞いていたけれど、それはぎくしゃくしていたとか、プライベートでは遊ばないとか、その程度のことだろうと勝手に思い込んでいたですよ。よもや、いっしょに仕事したくないくらい雰囲気が悪かったとは。吉澤が大丈夫かこいつらと心配するのも無理ない。そりゃみうなも『みうなノート』書くわ。
言われてみれば、思い当たる点もあります。ガッタスの練習をうまくこなせないみうなが泣いてばかりいたことを、里田に指摘されるまであさみは知らなかったみたいだし、みうなは『スピリット・オブ・ガッタス』で「悩んでもメンバーにはいっさい相談しなかった」と告白していましたっけ。
まあ、ナンだねえ。「に紺野と藤本」としてのユニット活動期を終えると、新曲のリリースがまったくなくなってしまったのも、グループのまとまりのなさが多少は影響したのかしらねえ。メンバー3人が顔をそむけ合っていたんじゃあ、仕事させにくいですよ。もっとも、カントリーとしてどうがんばっていくかというビジョンが乏しい状態で、一つになれというのは難しすぎる要求かもしれない。
フットサルを通じてわだかまりが氷解し、3人の間にきずなが生まれたのがうれしかったと里田は述懐するけれども、早い話、フットサルしかなかったんだろうね、当時のカントリーが共通の目標にできるものは。
でも、ようやく一体感が生まれたおかげで、ラスト一年はキャリアで最高と言ってもいい輝きを放つことができた。ラジオのレギュラー、ウェブサイトのコラム連載、久しぶりの(そして3人では初の)新曲レコーディングとベスト盤発売、初の単独ライブ。それらはすべて、結局は悔いを残さずにグループ活動を解消するための疾走に過ぎなかったのだと思えばむなしいけれども、その一方、青春映画のハッピーエンドのようなすがすがしさも漂う、すばらしい終わり方だった。
フットサルは、伸び悩んでいたタレントを満面の笑みにして第二の船出をさせてやることもできる。その点を、もっと伝えられないだろうか。アイドルのフットサルは、フットサルそのものより、実はそういったヒューマン・ストーリーの部分がおもしろいんだから。