始まりがあれば終わりもあると言うけれど

みうなが、ゲキサカで連載中の『みうなノート』で、タレント引退後の目標を、ほんのさわりだけ教えてくれています。
といっても、具体的に何をするつもりなのかはあいかわらず曖昧模糊としたまま。
「人のためになる仕事」かあ。ストレートに「人のためになる仕事」と言うのなら、介護福祉関係かなとか、地方公務員の初級試験でも受けるつもりかとか、まさか法曹界ではとか、いくつか思い浮かびますけれども、その前に「大きな意味で」と対象をぼやかす語句がくっついているんでねえ。農業もサービス業も、大きな意味でならほとんどの仕事が人のためになりますから、これでは何も説明していないのと同じです。
ただ、ひとつだけ言えるのは、サッカーライターだけはないなってこと(笑)。ライターについて形容する場合、大きな意味であろうとも人のためになるとは、ふつう言いませんので。


それはともかく、あさみもみうなも、あらたな夢に向かうために、潔く芸能界から足を洗う決断を下したのは立派。ずるずる居続けようと思えば、居続けられるだろうが、本当の夢を隠したままでは自分のためにも周りのためにもよくないと考えたのでしょう。
その点については、ちょっとシニカルな言い方になるが、カン娘メンバーでよかったかも。
インディーズ時代こそ戸田鈴音が中心でしたが、メジャーデビューして以降はゲスト・ボーカリストを迎え入れ、自分たちは引き立て役に回るやり方で存続してきたグループです。カントリー娘。石川梨華とか、カントリー娘。に紺野と藤本といったように、カン娘主体のユニット名にはなっていても、実態としては石川梨華と仲間たちであり、紺野&藤本プロジェクト with Othersだった。
本来のカン娘のみでは、インディーズ以外のシングルは1枚も出していないんですよね。アルバムもベスト盤が2枚だけ。カン娘のファンに叱られる覚悟で言うと、レコーディングでもコンサートでも、ひたすら同僚の手伝いをしているばかりのグループだった。つまり、一度も主役になったことがなかった。
だから、変な思い上がりや、自分への過信も生じなかった。「私はもっとできるはずだ。もっとスポットを浴びてもいいアイドルのはずだ」とは……まあ人間だからかなり考えたに違いないだろうけれども、それより「自分にできることは精一杯やった。それでいまの結果ではあるが、やり尽くしたから後悔はない」という納得の気持ちが強くあるんじゃないかと思います。


しかし、遅まきながらようやくカン娘のおもしろさを知ったところだというのに、もうサヨナラかい。
好きになった同級生が、告白する前に転校していってしまったような、2階に上がって思いきりハシゴを外されたような、拍子抜け感が激しいです。
でも、芸能界での数年間、たとえ報いが少なくても一生懸命がんばってきた彼女たちには、「次の道もその調子で。きっとうまく行くさ」と、陰ながら応援してあげたい。いまは、そんな気持ちですわ。