保田顔

NHKの夜ドラ「トキオ」では、保田の母親役を山村紅葉が演じるとのことです。
これは絶妙の配役ではないですか? 山村紅葉さんって、テレビでお見かけするたびに「この人、保田顔だなー」と、かねがね思っていたんですよ。
作家であり借金女王として知られる中村うさぎもそうですね。
乙葉も、保田顔系統でしょう。探せばまだまだいそうです。
保田の出身地である富津市は、千葉県の南、上総(かずさ)地方にあります。彼女自身が「すっごい田舎」と表現するとおりの鄙びた地域ですが、日本書紀に「上総国」という地名がすでに登場しているほど古い歴史があり、東海道も最初は相模湾からいったん船で海に出て、上総の国に渡るルートだったとか。上総の南の安房地方は、四国と人的・文化的交流があり、安房は「阿波」からきていると言われています。
古代日本における上総国は、人の往来が賑やかな要衝だった。イスタンブールみたいな都会だったのかもしれません。
保田家が先祖代々富津に暮らしているのだとしたら、保田顔はかつての都会人の名残であるわけですね。
ひとつ考えたのですが、「瓜実顔」や「童顔」、「玉顔」などと、顔かたちを言い表す用語がいろいろありますけれども、そこに「保田顔」もつけ加えるのはどうでしょう。
意味合いとしては、「秋田美人」のような言い方をするときと同じようなイメージで使うわけです。
「きみって、保田顔だねえ」
……ええと、まだ市民権のない言葉なので、誉めている雰囲気があまり感じられませんが、定着すれば印象も変わると思います。
というよりなにより、保田本人が、どんどんいい顔になってきているじゃないですか。やがて、言葉も追いついてくるはずです。